建設業許可
ここでは建設業許可が必要になるのはどういった場合なのか、一般建設業と特定建設業、知事許可と大臣許可との違いは・・・・などを簡単に説明させていただきます。
建設業の許可は国土交通大臣又は都道府県知事が一定の要件を満たした建設業者さんに認める許可です。500万円以上の工事を請け負ったり、公共工事をする場合は必要な許可になります。
営業所が複数の都道府県にまたがる場合は大臣許可、北海道だけなら北海道知事許可となります。北海道知事許可の申請先は各振興局です。
請け負った工事をさらに下請に出す場合、その合計金額が4,000万円(建築一式の場合は6,000万円)以上となる場合は特定建設業の許可が必要になります。
尚、1件の請負代金が建築一式工事で1500万円未満、それ以外の業種で500万円未満の工事しか請け負わない場合は許可は必要ありません。
また建築一式工事で請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150平方メートル未満の工事も許可は必要ありません。
最近は、請負代金の額にかかわらず元請業者から許可の取得を求められるケースが増えてきているようです。
許可の種類
- 建設工事の区分、種類と例示 ※外部サイト(石狩振興局ホームページ)が開きます。
- 土木一式工事
- 建築一式工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- 屋根工事
- 電気工事
- 管工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 鋼構造物工事
- 鉄筋工事
- 舗装工事
- しゅんせつ工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 熱絶縁工事
- 電気通信工事
- 造園工事
- さく井工事
- 建具工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事
- 清掃施設工事
- 解体工事(平成28年6月新設)
建設業許可の主な要件等
1. 経営業務管理責任者
建設業を営んでいた法人の役員以上、もしくは確定申告を行っていた個人事業主としての経験が満5年ないしは6年以上ある方が必要になります。
2. 専任技術者
申請する業種をカバーすることができる国家資格、もしくは書類で証明できる実務経験を10年以上(指定学科卒の方は短縮可)お持ちの方を常勤で有することが必要です。(例:二級土木施工管理技士→土木、とび・土工、舗装等 一級配管・配管工技能士→管)
- 建設業許可に係る専任技術者の資格要件 ※外部サイト(石狩振興局ホームページ)が開きます。
- 建設業の専任技術者となる学歴要件 ※外部サイト(石狩振興局ホームページ)が開きます。
3. 財産的基礎又は金銭的信用
決算書の自己資本(純資産合計)の額が500万円以上であること、または500万円以上の残高証明書を発行できることが必要です。
※一般建設業の場合
- 特定建設業許可の要件について ※外部サイト(石狩振興局ホームページ)が開きます。
4. 関係諸法令の遵守
関係諸法令を遵守していることが大前提になっているため、従業員がいれば労働保険、法人であれば社会保険の適用は必須ですし、法人事業税等の未納があっても申請できません。また、会社の事業目的(法人登記簿謄本)に申請する業種の建設業が具体的に記載されていることも必要です。
建設業許可(新規)の申請を考えている方へ
工事契約書・注文書・請求書控、(工事代金の入金確認可能な)通帳・領収書控等を捨てないで下さい!
営業務の管理責任者の証明等で使用する特に大事な書類です。満5~10年分以上は処分せずに保存しておきましょう。
※請求書の場合は入金確認可能な通帳又は領収書控もあわせて必要です。
その他の大事な書類の例
- 税務署に提出した個人事業の「開業届」控 ※個人事業を営んでいた期間がある場合
- 税務署に提出した個人事業の「廃業届」控 ※個人事業を営んでいた期間がある場合
- 税務署に提出した個人事業の「確定申告書」控 ※個人事業を営んでいた期間がある場合
- 過去に取締役に就任していた会社の建設業許可通知書(取締役就任期間と合致する期間のもの)
※上記のような書類は、古いものほど紛失するリスクが高くなります。
工事契約書・注文書・請求書控は工事内容(業種)が確認できるものが必要です!
「〇〇邸改修工事」など、工事内容が判然としない書類はそれだけでは使えません。
その工事が建設業許可29業種のどれにあたるのかがわかるものが必要です。
例えば請求書に工事内容が何の工事なのか具体的に記載されていないと、それに付随する内訳書・見積書等も窓口で提示を求められます。
また、請求書の場合は通帳又は領収書控で工事代金の入金確認までされます。
建設業許可を取得しないリスク(元請業者に迷惑をかけるケース)
建設業許可がないと「元請からの仕事が来なくなるかもしれない」という話をよく聞きますが、このような「建設業許可を取得しないリスク」について、触れたいと思います。
確かにゼネコン各社が施工上のコンプライアンスを担保するために、軽微な工事のみを請け負う下請業者に対しても許可取得を求める傾向があるのは事実です。
しかし、皆様方がよくご存知のように、本来建設業者にとって大切なのは「誠実な施工」「高い技術力」などであり、これらなくして「許可さえあれば仕事が取れる」ようなものではありません。
いつの時代も元請は、手際よく現場を納めてくれる下請に仕事を発注したいもので、それが許可業者か無許可業者かとは、基本的には別のものです。
ですから、仕事が真面目で技術力もある建設業者の皆様であれば、許可がないことで元請から仕事が来なくなるということは皆無ではないにせよ、本質的なリスクとはいえません。
それよりも建設業許可を取得しない本当のリスクは、もっと別のところにあると考えるべきです。それは、いつまでも許可を取らないことで「元請や発注者に迷惑がかかる恐れ」があり、ひいては、これらの人々との「信頼関係を損なう」ことにもつながりかねないということです。
無許可業者の皆様にも、日頃から優先的に仕事を回してくれるような親しい間柄の元請の担当者などがいらっしゃる方が多いと思います。
元請業者は、皆様がいつもきちんとした仕事をしてくれるので、皆様のことを大変重宝していることでしょう。しかし、その一方で皆様が許可を持っていたら「もっと金額の大きい仕事を回せるのに」といった不満にも似た気持ちもありはしないでしょうか。
また、その程度のことならいいのですが、「この仕事は何としてでも○○(皆様の会社名等)にやらせたい。しかし、500万円を超えるので発注できない」などという問題が出てくると、事態は少々深刻になってきます。
元請業者がどうしても皆様のところに発注したいのは、日頃から懇意にしているという理由だけではないと思います。
たとえば、何らかの特殊事情(皆様でなければできないような工期、仕事の難易度等)があって、皆様ではない他の許可業者が取って代わることができないような場合です。
建設工事というものは、請け負った予算や工期の中で図面どおりのものが完成されなければならず、完成する建設物には、求められるべき一定の品質や性能というものがあります。
このような場合、元請業者は、皆様でなければこれらの要求を満たすことができないことが分かっていながら、請負金額の上限の縛りを理由に他の許可業者に発注するでしょうか。元請も施主との契約を履行すべき責任上、ほとんどの場合それは考えられないと思います。
そこで元請業者は、皆様のことを慮って、表に出ない形で皆様に工事をそのまま発注するか、あるいは2つ以上の契約に分割して発注するような苦肉の策を講じることでしょう。
大変ありがたい元請さんのご厚意ですが、これがあだになることがあります。
それは、不幸にして違反が発覚したときのことで、このような場合、許可を受けずに工事を施工した業者は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(情状により併科あり)となります。【建設業法第28条、第47条】
加えて「許可を受けないで建設業を営む者に対する指導・監督の基準」により3日以上の営業停止処分になります。
また、建設業法違反で罰金刑を科されると5年間は建設業許可を取りたくても取得出来なくなってしまいます。
さらに、皆様と下請契約を結んだ元請業者も建設業法に基づく監督処分の対象となります。元請業者は下請業者との契約の際に、建設業許可が必要な場合には下請業者の許可状況を確認しなければなりません。これを怠ったとして、「建設業者の不正行為等に対する監督処分第14条第6項」により元請業者まで7日以上もの営業停止処分になってしまいます。
ちなみに500万円を超える工事を2以上の契約に分割しても、請負代金の額は各契約の合計額とされているので、違反行為のそしりを免れることはできません。
好意的に取り計らってくれた元請業者にまで罰則の範囲が及んでしまい、しかも1週間以上の営業停止処分という重い内容になっています。こうしたリスクを避けるために、500万円未満の軽微な工事の下請契約を結ぶ際まで、建設業許可を必須条件にしている元請業者が増えてきました。
建設業許可は信用の裏付けでもあるので、こういった流れは当然かもしれません。軽微な工事のみの請負であれば、本来建設業許可は必要ありません。しかし、元請の「早く許可を取れ」というのは、決して無理難題ばかりとは言えません。銀行からの融資を受ける際にも建設業許可が有利に働くほどなので、将来的に業務拡大をする上でも、元請業者・発注者等の取引先の期待と信頼に応え、良好な関係を築いていく上でも、建設業許可の取得は前向きに考える必要があるのではないでしょうか。